貿易に関税をかけると余剰はどうなる?|ミクロ経済学(25)
保護貿易
前回は貿易を行うことによって自国にとっても、相手国にとっても余剰は増加することを学んだ。
これは貿易を行うことに規制を設けていない自由な貿易での余剰分析であった。
自由貿易の対義語に保護貿易というのがある。
前回の余剰でも学んだように、貿易は社会的総余剰を増加させるが、国外から安いものを輸入する場合、国内の生産者余剰を減少させる。
つまり、自由な貿易をさせることによって、自国の生産者たちは供給量を減らすしかなくなり、その産業は縮小せざるを得ない状態になるのだ。
保護貿易とは、主に自国の生産者を守る目的で、国家が介入し制限をかけた貿易である。
具合的には、輸入品に高い関税をかけることによって、価格低下を緩和し、国内生産者の競争力を助けることになる。
輸入品関税により輸入量を減らす
輸入品に関税をかけた場合の余剰について考えて見る。
図3を参照
自由な貿易により、国際価格に下がった価格を関税を設けることによって、価格は関税追加の価格になる。
国際価格+関税=国内価格
図3のように関税追加価格の場合、点aまで国内供給を確保できる。
そのときの輸入量は線分abとなる。
関税の効果
関税をかけたときの余剰を図4に書いてみた。
生産者余剰はピンク色で縫った面積になり、自由な貿易のときの余剰から関税価格が増えた分の余剰を確保できる。
消費者余剰は青の面積になる。
関税を追加したことによって、政府は水色の面積の税金を得る。
自由な貿易を行ったときの社会的総余剰から関税時の社会的総余剰の差分が死荷重となるため、灰色の面積が死荷重となる。
つまり、関税により自国の生産者を守ることができるが、社会的総余剰は減ることになる。
編集後記
巷では、貿易の自由化についての議論がたえないですね。
TPPでは、例外なき関税の撤廃をうたっているようてすが、そうすることによって経済が活性化されることが期待されています。
自由化により自国の産業は守れなくなりますが、そもそも自由化の議論のきっかけは、戦争を防ぐことにあったようです。
つまり、保護貿易の結果、資源が充分に存在しない国は、資源が足りなくなると武力に頼るようになり、戦争に発展したという苦い経験があります。
そうしたことから、貿易は自由化して経済的にも国際的に協力していきましょうよ。というのがTPP協定の主な概要です。
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