ヘクシャー・オリーンモデルとは?|ミクロ経済学(23)

ヘクシャー・オリーンの(第一)定理
比較優位の説明では、我が家の家事の例を通して、労働力を生産要素として優位性を考えてみた。
しかし、生産要素には、材料、設備、技術、労働などあらゆる種別の生産要素がある。
ヘクシャー・オリーンの定理では、生産要素を、労働と資本の二つにわけ、生産要素の豊かさによって、各国がどの産業に比較優位をもつのか。ということを解明しようとした定理である。
なお、リカードの比較生産費説は、国ごとの技術(生産性)の違いから比較優位を説明した。これに対してヘクシャー・オリーンの定理は、技術はどの国も同じだと考え、労働や資本といった生産要素の量の違いから比較優位を説明する。ここが大きな違いだ。
ヘクシャー・オリーンの定理の結論は、本当に平たく言ってしまうと、
各国は国内に豊富に存在する生産要素で生産される財に比較優位がある。
ということだ。
つまり、
資本が豊富であれば、資本を集約した財(資本集約財)に、労働が豊富であれば、労働を集約した財(労働集約財)に比較優位をもつ。
ということである。
ヘクシャー・オリーンの定理で特徴的なのは、生産要素の調達コストをレンタル価格と呼び、資本のレンタル価格を利子率、労働のレンタル価格を賃金率として考える。
要素価格均等化定理
ヘクシャー・オリーンの定理から導かれる結論で、要素価格均等化定理と呼ばれる。
その結論は、
貿易を自由な形で行えば、労働者や資本が国境を越えて移動しなくても、生産要素の価格(賃金率と利子率)が国どうしで均等化されていくということだ。
すなわち、
資本の調達力に比較優位のある国は、はじめは利子率が低く資本集約財に競争力がある。
しかし、同時に、その国内では、資本集約財の需要が高くなり、利子率も徐々に上がって行くと考えられる。
その結果、資本集約財への優位性は徐々に薄れていく。
これは、労働力に比較優位のある国についても同じプロセスで、最初は低かった賃金率が徐々に上がって行くと、説明することができる。
最終的に、利子率/賃金率はどの国も均等化されていく。
結果として、自由な貿易によって、国家間で生産要素が移動しなくても、生産要素の価格は自然と均等化されると考えることができる。
これが、ヘクシャー・オリーンの定理の結論である。
photo credit: CarbonNYC via photopin cc
編集後記
ヘクシャー・オリーンの定理は、「その国に多くあるものを使って作るものを輸出する」という、言われてみれば当たり前に聞こえる話です。ただ、そこから「貿易をすれば、人が移動しなくても賃金が近づいていく」という結論まで導けるところが面白いのです。工場の海外移転や、輸入品との競争で国内の賃金がどう動くかを考えるとき、この見方が手がかりになります。
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